当丸峠-稲穂峠経由で積丹半島を周回

道々998号の当丸峠は、個人的には思い出深い峠です。今から30年以上も前、当時は砂利道の悪路で当然冬期除雪はされず、春先に六志内橋の所から延々とスキーで雪道を歩いて積丹半島縦走に挑んだことがあります。結局悪天候で果たせませんでしたが、丸一日六志内トンネルの中で快適な?テント暮らしができました。現在は泊原発の事故の際の避難路としての意味が増したため、通年通行が可能となりました。昔の曲がりくねった悪路は立派な橋でバイパスされ、峠付近は長大な覆道(スノーシェルター)で覆われて、かつての六志内トンネルもその一部に取り込まれています。冬期の除雪作業を楽にするためでしょう。立派な道ですが普段は通る人も少なく、自転車で走るには理想的な峠です。

当日は余市道の駅「スペースアップル」に車を置いて出発しました。この時期の道の駅は、ここで寝泊まりするキャンパーで早朝から賑やかです。大体こういう人たちは奥の第二駐車場を利用していて、私も長時間止めるときはこちらを使っています。自転車を組み立てていると大体この人たちがよってきて話になります。割と年配の人が多く、皆さん結構遠くから来ていて、中にはキャンピングカーで寝泊まりしながら夏中を北海道で過ごすというすごい人もおりました。

古平のろう燭岩

古平のろう燭岩

さて余市を出発して日本海沿いを積丹半島側へと進むと、第一の関門は出足平峠(「でたりびら」と読む)です。梅川地区からちょっとした登りに耐えなくてはいけません。頂上付近は梅川トンネルとなっており、歩道などはなく狭いトンネルでちょっと不快。一気に下ると白岩町の湾となり、この先は古平まで長大なトンネル地帯となります。20人の犠牲者を出した1996年の豊浜トンネル事故のあと、この地域や雷電海岸のトンネルは大改良が加えられました。事故が起きた豊浜トンネルは、隣にあったセタカムイトンネルとつなげる形で延長され、現在では事故現場となったチャラツナイ岬を間近に望むことはできなくなりました。古平側の出口にあたるセタカムイ岩の下に小さな公園が作られ慰霊碑が建っております。トンネルはいずれも立派な道幅と内部照明を備えていますし、路面もあまり痛まないせいか外の道よりも走りやすく、比較的安心して通り抜けることができます。ただともかく長いので夏でも段々と体が冷えてきて、日の光が見えたときにはほっとします。わずかに途中で見える海には有名なろう燭岩が浮かぶのを望めます。沖歌トンネルを過ぎるとようやくトンネル地帯も終わりです。左には古平家族旅行村というキャンプ場も見えてきます。そして小さなトンネルを抜けると古平の沢江町となり、いよいよ当丸峠の旅の始まりです。沢江の曲がり角にはコンビニがあるのでここで必要なカロリーを調達します。

六志内の御社

六志内の御社

沢江からの古平川沿いの道はほとんど走る車もなく快適なペダリングとなりました。農家のおじさんが不思議なやつ、というような目でこちらを見ております。自転車でこんな所を走る人は珍しいのでしょう。古平川とは六志内で分かれ、道は六志内橋を渡って六志内川から尾根にとりついてゆきます。この先の登りに備えてまずは一休み。赤い鳥居の御宮で道中の無事を祈願します。登りに耐えて進みますが、かなり上に牧場があるせいか人の気配はそれなりにあります。熊に出会うほどの雰囲気はありません。牧場を過ぎ、大きく尾根を巻くと遙か彼方に覆道が見えてきました。展望覆道です。あそこまで上るのか、とため息が出ますがもうひとがんばりです。展望覆道までくればあとは楽に峠まで登れるでしょう。峠自体は覆道に覆われてまったく展望がききませんので手前の展望覆道に横穴が開いていて眺めを楽しむことができます。古平と神恵内の町境が峠ですが覆道内にある看板と道の傾斜でかろうじてここが峠であると知ることができます。一応写真を撮って下り基調の道に入ると次第に傾斜が強まってゆきます。車が少ない道なのでスピード狂の方には堪えられないことでしょう。ただ路面には恐らく雨水を排水するためと思われる縦溝が執拗に切られております。(横溝ではなく縦溝です!)このためロードの細いタイヤですと溝に足を取られる感じとなって気持ち悪いです。私のような臆病者はあまり速度を稼ぐことができませんでした。それを除けば眺めも申し分のない楽しい下りです。

当丸峠は覆道のままで通過する

当丸峠は覆道のままで通過する

 

 

神恵内の有名店「勝榮鮨」

神恵内の有名店「勝榮鮨」

下りきれば神恵内。古宇川は清澄で実に美しい流れです。魚も当然いるのですが禁漁です。竿は出さないように。神恵内では楽しみにしていたものがあります。勝榮鮨という評判の寿司店があるのです。なにしろ並んで待つらしいので開店前に着いたのを良いことに行ってみました。開店30分前というのに既に店の前には人が何人も座ってます。話を聞いてみると店の中にノートがあるからそれに名前を書き込んで待つのだとのこと。見れば5-6組の名前が書かれておりました。私も書き込んで待つこと一時間あまり。店が小さいので開店してからも実際入ることができるまでさらに待たされます。途中で小雨が降ってきて隣の空き店舗を待合に解放してくれました。これまでして食べた鮨の味はいかに、というと、中々のもの。都会の洗練された(コジャレタともいう)鮨とは違いますが、ネタが惜しみなく使われている上にちょっとした仕事もされていて、おいしいです。この店に行って「お昼」を食べたいなら10時半には神恵内に着くことです。

 

神恵内漁港のトイレ 名前に注目!

神恵内漁港のトイレ 名前に注目!

 

旧幌似駅駅舎です

旧幌似駅駅舎です

 

くだもの村 フルーツパイなどが売られています

くだもの村
フルーツパイなどが売られています

せっかくここまで来たので神恵内道の駅まで足を伸ばします。まずは港でトイレを。大体漁港には立派なトイレがあるものですが、ここも、、、ありました。立派です。名前もしゃれてますね。道の駅は市街をかなり外れたところにあります。道の駅スタンプを押して、神恵内のキャラクターの「どらごん太」をゲット。お姉さんの「ペアで買えば割引になりますョ」の甘言にのって雄雌ペアで買ってしまいました。神恵内へ戻り、海岸沿いを岩内方面に進みます。断崖が続く海岸の常で出岬をかわすたびに多少の上り下りを強いられます。こちらの道は数年前の台風で橋が崩れて暫く神恵内が陸の孤島状態になったことがあります。そのためいくつかの入り江は巨大な橋でバイパスされるようになりました。橋の上から小さな船入澗が遥か下に見下ろせるのはちょっと他にない光景です。兜岩には北海道で各地に残る義経伝説があります。岩内方面を見れば泊(とまり)の原発も望めます。原発には警備の問題などから近づけませんので姿を見られるのはここと岩内側からになります。堀株トンネル(「ほりかっぷ」と読む)で原発をかわすと泊原発のPR施設「とまりん館」で一休みして日本海と離れて共和に入ってゆきます。岩内へは向かわずに堀株川右岸を進みます。畑の中の気持ちの良い道です。途中で幌似駅に寄ってみました。旧岩内線の廃駅です。国富のコンビニが峠前の最後になりますから、ここでエネルギー補給です。国富のおばけ煙突をながめつつ稲穂峠の登りにかかります。この峠は標高差はそれほどではありませんが、腐っても国道5号ですからそれなりの交通量です。おまけに道はそれほど広くはありません。特に最後の稲穂トンネルは長さも少しあるのでちょっと不快なトンネルです。このトンネルを過ぎると大江の橋まで一気の下り。あとも下り基調で仁木まで楽に走れます。ここまで来ればゴールの余市は目の前。まだ時間もあるので仁木の十字街にあるお菓子屋兼喫茶店のような店「くだもの村」で甘いものを頂くことにしました。仁木は果物の里ですから本当は果物のパイが食べたかったのですが、どうやらカット売りはしないらしく、出せるのはスイートポテトだけ、と言われてしまいました。まあそれでもいいわい、と一服して一日を締めくくりました。約120kmのコースとなります。

最後のおまけは余市ワイナリーです。ワインを売っているのは当然ですが、レストランもなかなかおしゃれです。駐車場もかなり広いですよ。

余市ワイナリーです

余市ワイナリーです

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