オロロンラインから国道12号へ

このコースは大抵の人には一日では無理でしょう。従ってShort Bike Rideとはいえないコースですが、一応周回ルートですし、札幌から出られるコースですので紹介してみました。

札幌から石狩へ抜け、所謂オロロンラインとよばれる日本海沿いの国道231号を使って留萌まででて一泊。二日目は233号を使い美葉牛峠を越えて北竜町へ抜け、石狩川右岸をたどって、新十津川の手前で石狩川を渡り、滝川から国道12号をたどって札幌へ戻る、というルートになります。

この日は途中でダウンして汽車に乗る羽目になったときのために折りたたみのBD-1を選びました。以前にやはり留萌まで走ったときには大雨で交通機関が停まり、漸く動いたバスで深川まで逃げ帰った経験があります。その時もこの自転車でした。留萌駅で慌てて自転車をたたんで、急遽出ることになったバスに飛び乗った思い出があります。今回も同じ事にならないことを祈りつつの出発でした。幸い天気は良い、との予報です。

早朝に家族の寝静まる中を抜け出し、とりあえず出発しました。途中の新琴似のセイコーマートで腹ごしらえです。今回は恐らくセイコーマートをつなぎながらの旅になるでしょう。このコンビニは道北も含めた全道一円に店舗展開されており、特に道北を走るときには大変お世話になります。北海道旅行をするならここの会員カードは持っていて損はないです。何故かというと、ポイント自体は旅行者にとってはどうでも良いでしょうが、会員限定で割引特典のある商品が結構あるのです。これが中々うまみがあるわけです。カードはその場で作ってくれますし、なかなかよく出来ていて、カード本体とは別にバーコードだけが印刷された半券の様な部分が切り離されるようになっていて、二つ目の財布に入れておくことが出来るようになっています。従って小銭入れの中にこれを放り込んでおくことも出来るわけです。

石狩まではどのように走っても良いのです。太いのは追分通りですね。石狩花川から石狩市庁舎横を通ってまっすぐ行けば、道は石狩新港をはるか左に見つつまっすぐに続きます。風力発電機が気持ちよく回っています。太く整備された良い道です。この辺にもセイコーマートが二件あります。石狩河口橋は左に歩道があり、風の強いこの橋を渡るときは無理せず歩道を走った方が無難です。渡れば八幡町です。ここにもセイコーマートあり。時間が早朝でなければ食堂も数件営業しております。今回は構わず進みます。程なく聚富の上りが待っていますがたいしたことはないです。ここには「猫の家」というカフェの看板が。今回は寄り道はしませんが猫好きにはたまらない店だそうです。一山越えて望来。ここにもセイコーマート。望来市街で食堂は民宿兼食堂の「味の望海」一軒だけです。また聚富の崖の上にはピザなどがだされる「リップル」があります。少し平坦な道をたどると再び登りです。これから先の日本海は増毛までこんな調子で上ったり下ったりの連続となります。大体一度の登りが100mから150m程度でしょうか。峰泊のトンネルを過ぎると左に「天海コーヒー」の瀟洒な建物が見えます。ここは中々落ち着く店です。一旦下って古潭を過ぎてまた登り、次の下りが終わると厚田です。ここのセイコーマートで一服するのが良いでしょう。この先は浜益まで補給できる場所は何もありませんから。厚田市街には港付近に食堂や寿司店(かなり混む)鮮魚店、朝市などあり、夏のシーズン中は結構賑わいます。宿泊は創価学会の二代目会長の戸田城聖ゆかりの戸田旅館を初め、民宿が何軒かありますが泊まったことはありません。

市街を過ぎてすこし上ると、海沿いの気持の良い道が続きます。「安瀬」と呼ばれる場所です。これをなんと読むか。恐らくほとんどの方には無理でしょう。実は北海道人の私にも無理でした。はじめ「あっちゃせ」と読むのかと思いました。日本海側の瀬棚の方に「厚瀬崎(あっちゃせざき)」という場所があるので、ここもそうかと思ったものです。ところがなんと「やそすけ」と読むのだそう。アイヌ語の「ヤソッケ(網・場所)」によるものだそうです。確かにゴロタ石の穏やかな平磯で、網を仕掛けるには良い場所のように見えます。

濃昼山道入り口 急な登りです

濃昼山道入り口 急な登りです

滝ノ沢トンネル、太島内トンネルと長大なトンネルが続きます。最後に新赤岩トンネルを越えると登りに掛かります。濃昼の登りです。これも難読地名の一つ。「ごきびる」と読みます。今では新赤岩トンネルが集落の上に出てきますが、かなり昔は海沿いの濃昼の集落から大きく谷を巻くように上って行く道でした。さらに大昔はそもそも海沿いの道などなく、安瀬から大きく崖を高巻いて到達できる難所だったところで、今でもこの道が「濃昼山道」として残っております。

またトンネルをいくつか越えて、次の登りは送毛(おくりげ)です。ここも旧道があり、「送毛古道」と呼ばれる山越えです。私はまだ走ったことがありませんが、一部砂利道となるらしいです。千本ナラという記念樹があります。新道の方は「新送毛トンネル」というまたまた長大なトンネルを越えるとあとは気持のよい下りとなって毘砂別(びしゃべつ)に至り、平坦な海沿いの道を風を楽しみながら浜益へと至ります。ここにもセイコーマートあり。補給です。この先はコンビニは増毛までなしです。途中の雄冬地区は夏場はいくつかの小さな食堂らしき店が営業するようですが、まともな商店と言えるような所はないと思った方が良い感じの所です。浜益はコンビニの前が海浜公園になっていて、ここにテントを張ることが出来ます。料金は無料。気持のよいテントサイトです。ここに泊まって川の上流にある浜益温泉に入るのが好きです。しかし今回は通過です。

雄冬冷清水

雄冬冷清水

白銀の滝

白銀の滝

群別、幌、床丹と集落を進み長大な二つ岩トンネルを越えると千代志別です。かつてはここが道の終点でした。この先は船で渡るほかなく、雄冬は「陸の孤島」と呼ばれたものです。しかししかしその後何度か工事が繰り返され、現在はこのルートで最長の浜益トンネルによって雄冬岬の難所を全てバイパスして雄冬に至る事が出来るようになりました。しかしその分途中の絶景、奇岩は見ることが出来なくなってしまったのは少し残念ではあります。トンネルを抜けるとすぐ右に白銀の滝が落ちています。また集落の入り口付近には道の左に雄冬キャンプ場があります。ここはキャンプ場とは名ばかりの細長い空き地で、すぐ横が国道なのでちょっと落ち着かない感じで、あまり利用されていないようです。ただ水場とトイレはちゃんとありますし、雄冬冷清水というわき水が湧いております。東屋になっていて、暑い日であれば美しいわき水に足を浸して日本海を眺める贅沢が味わえます。ただ残念なことにこの水は飲用不可です。

歩古潭からの絶景

歩古潭からの絶景

ここから暫くは海沿いの道です。6km程で右に岩尾温泉が見えてきます。昔からある温泉で、かつてはここも船で来たとのこと。まだ入ったことはないですが、こんな所でゆっくりと出来る日を楽しみにしたいです。更にトンネル地帯が続き、歩古潭の最後の登りになります。150m位ですが一日の後半になると少し堪えます。ただ登り切った辺りの眺めは最高で、一日頑張った甲斐があったというものです。ここを下ると増毛町はもうすぐです。

増毛は小さな町ですが、古くから栄えた土地らしく味のある建物が多く残ります。町の入り口の海側にはかつての大砲が置かれていて海の要衝であった事が忍ばれます。道をまっすぐ突き当たりまで進むと増毛駅ですが、途中に最北の酒蔵である国稀酒造がありますし、ラーメン店、寿司店などもいくつかありますから食事も楽しめます。私が通った日は留萌-増毛間の鉄道が廃線となる直前で、最後の列車に乗ろうとする鉄道ファンが沢山駅前に来ておりました。国稀酒造前には仕込み水をくめる場所もあります。

これが「波濤の女」中々美人です

これが「波濤の女」中々美人です

黄金岬キャンプ場

黄金岬キャンプ場

増毛から留萌に向かいます。町外れを少し上がって下ると、あとは海沿いの平坦な道が続きます。漁村の風景を眺め、まもなく廃線になる留萌-増毛間のローカル列車が時々走り去るのを見送りつつ淡々と進むとやがて留萌の入り口の分岐に至ります。右は市街の中心部へまっすぐ入って行き、左は海岸沿いの道となって本日の宿泊予定地である黄金岬へと続いて行きます。海岸は「サンセットビーチ」という美しい海水浴場で、やがて小さな出岬になっているのが黄金岬です。右に飲食店が少々、海側はちょっとした公園になっていて、石碑や「若者達」のメロディーが流れる記念碑などがあります。さてテントサイトは、と探しますがそれらしい物も標識もありません。しかしよく見ると駐車場の横の幅3m位の細長い芝地に小さなテントが並んでいます。これがキャンプ場?と目を疑いましたが、周囲を探ってもテントを張れる場所はここしかないようです。確かに落ち着いて回りを見るとトイレがあり、小さいながら水場もあります。やはりこれが「黄金岬キャンプ場」のようです。観念して小型のテントを張りました。本日のテントは空気を吹き込んでフレームにする構造の簡易テントです。nemo gogo elite という製品ですが、テントと言うよりはビビィと呼ぶべき代物で、高さがないので全く快適ではありませんでした。寝てしまえば同じと言えば同じですが、中で服を着替えるなどには相当難儀しますね。ただフレームがないのでパックすると小さな毬くらいの大きさになります。重さは超軽いとは行かぬのですが、このコンパクトさは魅力です。これは荷物が余り積めないBD-1には大変助かる事です。設営や撤収は超簡単でした。テントを張って一息つき、留萌の夜の町を楽しみます。まずは港にある人型の灯台「波濤の女」を見に行きました。黄金岬から更に港側に進み、道が右に曲がって登りになる前の砂利道を港内へ進みます。港内の右奥にこの「灯台」があります。まあ本格的な灯台ではないですね。灯りが点く銅像と言った方が良い。でもなかなかしゃれて居るではないですか。残念ながら時間が早くて点灯していないので、まずは夜の留萌を堪能しに丘を登りました。駅前付近が繁華街です。この日はある寿司店に入り色々と堪能しました。帰りにもう一度点灯している「波濤の女」を見に行きました。

三船殉難の碑

三船殉難の碑

翌日は早起きして昨日と同じ道をたどって街のセイコーマートまで登り、弁当などを仕入れて朝飯にしました。キャンプ場の上の丘には公園と記念碑があります。終戦直後に留萌沖で国籍不明の潜水艦に撃沈されたという引き揚げ船の慰霊碑です。

さてこの日は訳あって留萌の街を出たのが9時という超遅いスタートでした。市街地を抜けて小平方面へ北上する道と分かれて国道233号を深川の方へと向かいます。道は留萌川に沿ってゆっくりと上って行きます。車の量は昨日よりは多くなりましたが道が良いのでそれほど苦にはなりません。峠下で恵比島への道と分かれ、美葉牛峠へと向かいます。「びばうし」と読みます。多くの車が併走する高速道路を使うので道はすいています。美葉牛峠は小さな峠で下ると石狩平野の北の端です。平坦な道をたどって碧水の交差点。ここにコンビニあり。留萌からここまではコンビニ無しです。

美葉牛峠越え

美葉牛峠越え

この交差点を右折すると雨竜へと進んで行きます。北竜町、雨竜町と道の駅が短い間に二つ続きます。コンビニや自販機もぽつぽつと出てきますから、昨日までの様に補給に神経を使うことはもうありません。この日は滝川の松尾ジンギスカンに寄ることに決めていましたから石狩川橋の一つ手前の橋で石狩川を渡って対岸の滝川ふれ愛の里の横を抜ける道で国道12号に出ました。松尾ジンギスカンは北海道の数あるジンギスカンの中で味付きジンギスカンの雄とも言える存在です。味はちょっと濃いめでしょうか。

満足して店を出るともう午後も遅い時間になっていました。やはり出発が遅れたのは痛いです。後はひたすら国道12号を札幌へと向かうだけです。単調な「直線道路日本一」をたどり、岩見沢まで来た所で時間切れとなりました。早く出れば完全に周回でしたでしょう。

松尾ジンギスカン本店

松尾ジンギスカン本店

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