名馬の里を往く 平取から新冠へ

母馬と仔馬

春は仔馬の季節

平取町はアイヌ文化の発信地として有名ですが、沙流川沿いの中心を外れると競走馬の牧場が点在する静かな山間の道が広がります。交通量は極端に少なく、道は美しく、春は桜や梅ばかりでなく、鈴蘭やオオバナノエンレイソウ、ニリンソウなどが、他では見られないような群落を作っていて見事です。日高山脈を源流に持つ小河川がそれぞれ谷を作っていて、コースはこれを横切りながら進みますのでアップダウンはそれなりにありますが、これも又楽しい。総走行距離は100Km弱ですが十分に満足できるでしょう。付近には名湯とは言えませんが安い温泉も数多くあり、走ったとの楽しみも事欠きません。

今回のスタートは日高門別(現在は日高町)の庫富(くらとみ)です。日高道を富川でおり、沙流川を渡って日高門別の交差点を山側に入って行くと最初の集落です。道々1026とのT字路を右に折れるとすぐ橋になり、この袂に車を置きました。帰りはこの道々1026を下ってくることとなります。

廃屋の桜

廃屋の花園

庫富から義経峠分岐の広富を目指して道々351を進みます。わずかな上り基調の道ですが、海風が背中を押しているせいか上りである事を忘れます。道は良く車は少なし。良い天気で気持ちが良い。道々の牧場では今年の春に生まれた子馬たちが母馬に甘えています。馬も子馬のうちはよく寝るものらしい。草原に無防備に横になっています。

義経峠分岐で道々80号に入ります。交通量は更に少なくなり、山菜採りの人が時々通る程度。昼間は流石に熊が出ることはないでしょうが、夜だと真面目にそっちの心配が出てくる感じの道です。門別川水系から厚別川水系へぬけるちょっとした峠ですから上りはそれなり。下りきると三和分岐点です。辺りには民家が数軒とバス停の小屋があるだけ。あとは牧場です。書き忘れましたがスタートからここまで補給は一切ありません。自販機もなし。従って水・食料とも全て背負って走る必要あり。ここから道々71になります。

太陽分岐点 偉大なる分かれ道!

太陽分岐点

さてこれから暫くは厚別川沿いにゆるく下ります。周囲は畑作地帯という感じ。静かです。離農したのか廃屋が点在する寂しい地域です。道々208との分岐を左にとると再び上り基調に。太陽地区の台地状の地形へと上って行くことに。この辺りから「ディマジオ美術館あと○○km」という看板が時々見えてきます。「ディマシオって何だ? ジョー・ディマジオは野球選手だけど、なにか野球の絵でも飾ってるのか」と馬鹿な事を考えつつ進みます。途中に「太陽分岐点」という、天文学的に重要と思えるようなバス停跡があります。遂に「ディマシオ」が見えてきました。突然、教会か何かのような瀟洒な建物が下り道の降りきった所に現れます。場違い感が強烈です。野球の殿堂ではないようです。幻想絵画の作家らしい。建物はよく見ると廃校の再利用だと分かりました。しかしそれにしてもよく改造したものだ。感心します。「ネコに注意」の看板が笑える。車は徐行しましょう。残念ながらネコはおらんでした。当日は観覧者はだれもいないようで森閑ととしておりました。

ディマシオ美術館 残念ながらネコは飛び出さなかった

ディマシオ美術館 ネコが飛び出す?

この後太陽地区の大地から新冠川へ一気の下りとなり、降りきって新冠川に掛かるのが御影橋です。この橋のたもとで一休み。スポーツバイクなど珍しいらしく、地元の若者が眺めて通ります。御影橋の手前を右折して新冠川右岸沿いの道を進みます。暫くは細道ですが舗装が途切れるようなことはありません。道々209と合流すると交通量は少し多くなります。もしかするとここがこのルートで一番車の多い場所かも知れない。緑丘で右折し山登りに入って行きます。遂に走り始めた、道々1026号に入ります。

ここからは海の近くの小さな川をいくつも越えて進みますから上ったり下ったりが忙しいです。一つ一つの上りはたいしたことないのですが、何しろ後半で疲れてますし、海からの風はここに来て意地悪な方向から吹くことが多いようです。思えば前半も上りが結構あったのでそろそろ私のようなレベルだと足に来ています。新冠川から厚別川へ越えるのが最大の上りです。私は最後の豊郷小学校の横で暫くごろ寝をしました。道で転がっていても誰も来ないので平気です。空を仰いでうとうとすると実に気持ちが

オオバナノエンレイソウの群落

オオバナノエンレイソウの群落

良い。この一山で終わりというのも充実感満点です。実は上りの斜度はこの最後の上りが一番きついようです。登り切ると美しい牧場の広がる中を、出発地点の橋へとまっしぐらに下ります。馬たちが不思議そうに見ています。一日の終わり、夕陽が美しいでしょう。

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