御料峠を越えて

道々94号御料峠は北竜町から山越えをして、増毛と留萌の中間点の信砂に至る峠です。これを使って北竜町から留萌に抜け、そこから恵比島峠を使って北竜町碧水に戻る周回ルーとを走って見ました。距離も100km未満で、一日で走りきるのは楽々、と思っての出発です。

当日は朝早く札幌を出て、道央道から深川ジャンクションで別れて、秩父別で下りました。碧水の交差点を左にとると、道の駅「サンフラワー北竜」はすぐです。巨大でハデハデの龍の門がお出迎え。7時前というのに太陽がじりじりと肌を焼きます。これは暑い日になりそう。嫌な予感がします。ロードバイクの準備をして大型のサドルバッグを装備。背中にはなるべく荷物を背負わないことにします。

御料峠、なにもない

御料峠、なにもない

出発して少々上り、向かい風。国道275号を数キロで右折。いよいよ道々94号です。交通量は限りなくゼロに近い。道は良いです。ただ、ヒドク熱い!!本州の方には笑われるかも知れませんが、北海道人としてはこの暑さは耐えられません。日陰になるような場所がないのも辛い。田園地帯が続くため木が少ないのです。石油沢の手前のちょっとした切り通しの横にわずかな日陰を見つけてしばし休息です。道自体はわずかな上りですが全く苦になりません。むしろ風が問題でしょう。この辺は何故か思ったより風が強いようです。追い風なら良いのですが、その逆は、当然・・・

本格的に上りを感じるのは恵岱別ダムの上りからです。ダム湖に登り切ると短いトンネルを越え、左に人造湖が見えてきます。それほど美しい物でもないです。そして最後の峠の登りとなります。峠の登りとしては大したことはないです。登り切っても何もありません。留萌市との町境の看板が出て、御料峠はその少し先にあります。峠部分にちょっとした駐車スペースがあるのみで施設らしきものなし。

下りは信砂川にそって一直線です。通行量は少なく、ちょっと熊が心配になるほどです。ただ割と直線道なので見通しは良い。熊からもこちらが見えるでしょうから、突然の出会い頭と言うことはないかな。遠くに海の気配が感じられるようになると、農家の集落が見えてきて、やがて信砂の交差点です。ここまで自販機、商店、ともに一切無し。この角には商店が一件あって自販機があります。建物の陰に避難して冷たいものにありいていると、地元の人と思しきおじさん登場。自転車をみて、何処まで行くか、と聞いてくるので、留萌から深川方面に抜ける、と話すと、「その方がいいわ。北に行くと結構上り下りあるから」とのお話し。確かに苫前辺りの海岸線はアップダウンがあるのは知ってます。更に、付近で自転車がひき逃げされる事件があったので気をつけるように、と忠告されたりしました。

黄金岬「波濤の門」

黄金岬

さて水も補給したので海岸線を留萌に向かいます。良い天気の日で、日本海は美しいブルーの鏡のよう。海風が心地よい日でした。ビーチを横目に海岸通りを走ります。2年振りの黄金岬で記念撮影。そのまま進んで、港の横から丘を登り町に入りました。ここで食事、と決めていたのですが、飲食店が開くまで少し間があり時間つぶしが必要となりました。しかしちょっと海を離れると照りつける太陽が途端に体温を上げて行きます。とても外にいる気がしないのです。駅の待合室に逃げ込んでぶらぶらとしていると、増毛まで走ってきた、というお兄さんに声を掛けられました。何でも隣町の小平から、逆側の隣町である増毛までランニングしたとの事。しかし余りの暑さで走って帰るのは諦めてバスでここまで戻ってきたところである、というのです。「涼しくなってから帰った方が良いですよ」との忠告を残して、ボクは急ぐので、とご自身は再びカンカン照りの中へ掛けだして行きました。

さて11時になったので目的の飲食店は開店です。この日は高麗館という朝鮮料理の大きな店に行ってみました。開店直後というのにかなりの賑わいです。レバニラ炒め定食を頼みましたが、中々のボリュームで満足しました。店内はクーラーが効いて心地よかったのですが、店を出た途端に猛烈な暑さの攻撃です。この炎天下の下の峠越えか。ちょっと憂うつ。

峠下駅 中は涼しいです

峠下駅

留萌の町を出ると、店舗も自販機もほぼありません。ボトルの水だけが頼りです。しかしそれも日にさらされ、中身はぬるま湯から風呂くらいの温度になっています。道は少しずつの登り。おまけに先ほどまでは気づかなかったのですが、この日の風は深川側から留萌側に吹いている、つまりもろに向かい風です。自転車が進まない。苦しい時間が過ぎて行きます。幌糠のパーキングが見えてきました。たしかこのルートは一カ所だけ自販機があるはず。ここにはトイレのある建物がありますが、自販機はナシ。しかしパーキングを過ぎてすぐの理髪店の前に、、、ありました!自販機が!おまけに店舗の裏には休憩用のベンチが置かれている。これは有り難いです。早速冷たい水にありついて日陰で体を冷やしました。ボトルの水はお湯になっており、体に掛けて気化熱で体を冷やす作戦をとります。それもすぐに乾いてしまう。この日の暑さは異常です。

明日萌駅(恵比島駅)

明日萌駅(恵比島駅)

萌の人形 怖い!

萌の人形 怖い!

次のお休みポイントは峠下の駅舎。設備は何もありませんが、日陰に入れるだけでも有り難い。先ほどの水の残りを飲んでしばし休憩です。恵比島峠は高さが100m程度しかないので、「峠」と呼ぶのはちょっとはばかられるものです。あっさりと登って下りもあっさり。折角来たので、朝の連ドラ「すずらん」の舞台になった恵比島駅を覗きましたが、駅舎には鍵がかかり中には入れませんでした。中には駅のセットが保存されているのですが、ちょっと不気味なのは、恐らく主人公「萌」の人形。窓からのぞき込むと目が合ってしまいました。ぎょっとします。

ここまでくれば出発点までは10kmを切っていて、通常なら着いたも同然、なのですが、この日はちょっと違いました。先ほどからの向かい風が益々強い。更に最も熱い時間帯に突入。しかも日陰無しの畑作地帯。電信柱の陰に身を潜めて涼をとったのは初めてです。農業用水に手を突っ込んでもぬるい。2km走るのがきつい、と感じるような状況です。恐らく電解質のバランスが狂い始めています。こういうときは塩分を補給しなくては危ないです。あるところから急に補正不能に陥り、動けなくなる恐れがあります。塩飴を時々なめるとその度にちょっと元気が戻ってくるのが分かります。高速道路の下で一服。地図を眺める。あと4kmで碧水のセイコーマートです。ここでアイスコーヒーにしよう。それだけを励みに進みます。やっとの思いでセイコーマート着。アイスコーヒーは?何とこの店ではコーヒーメーカーがなく、ボトル入り飲料しかありませんでした。あの氷入りのヤツが飲みたかった。まあそれでも飲み物にありつき、これで命の危険はなくなりました。

出発点までは2kmちょっと。道の駅のクーラーの効いた休憩ベンチで暫く体を冷まし、トイレで顔を洗うと塩分が目にしみました。背負っていたリュックのベルトが塩で白くなっていて、一体どれだけ汗をかいたのかと驚きました。

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