黒松内・月越原野をこえて

黒松内から直接島牧方面へ向かう道は、普段はあまり利用することがありませんでした。島牧へ釣りにでも出かける人は海岸沿いを走りますし、黒松内まで来てその後は長万部側に抜ける場合が多いものです。今回初めてここを走って見ました。それなりの山越えで、峠と呼んで差し支えない登りでした。月越原野と呼ぶのだそうですが、月越峠といってもいいかも。月を越える峠なんて素敵な名前ではないですか。

未知のルートなので前日から近隣で寝て早朝のスタートとしました。黒松内道の駅が起点です。早朝は曇り。気温は結構低く肌寒いほど。今年はコロナウィルスの影響あって、ここの雰囲気も暗いです。それでもキャンピングカーと思しき車が十台くらいは停まってました。ベンチにはお決まりの「今は距離を取って」の張り紙がベタベタと貼られてます。自転車を組んでスタート。

まずは国道5号線を長万部方向に暫く進みます。当日は国道の整備がいまいちで路面は荒れてました。婆沢(ばばさわ)という凄い名前の場所で右折して道々266号に入り黒松内市街を目指します。程なく現れるミネラルウォーターの取水地が右に見えます。ここでは時間限定ですが水が汲めるらしい。この道は朱太川本流に沿って進む気持のいい道で、川を渡る毎に細かいアップダウンがあります。ガソリンスタンドのある場所で黒松内市街に入ります。当日は市街地を見たかったのでそのまま直進して駅横を通りました。黒松内駅前の猫屋敷には、やはり居ましたね。市街の外れに変形三叉路があって、いよいよ道々523号美川黒松内線、月越原野越えの始まりとなります。

いきなり登りです。黒松内西側の台地上に道が続いていきます。中学校を過ぎて更に進むと右には三角屋根の建物。地元の物産を加工する場所らしいです。道は一旦下り、中ノ川地区で川を渡ると、いよいよ本格的な登りとなります。途中でゲートが出ると人家は途切れます。周りは手つかずの森。狩場山からつながる山塊だけに熊の気配濃厚か、と思ったのですが、それほどでもなかったです。だらだらとした登りは結構こたえます。やがて地名表示が中ノ川から月越に変わる辺りから視界がひらけて右手はるかに日本海が望める様になりました。道は、ともかく素晴らしいです。路面は良く交通量も非常に少ない。堂々と真ん中を走っても問題なし、といった感じ。頂上付近になるとウインドミルが並び、恐らく携帯用と思しき電波塔が立っております。風よけのシェルターを抜けると本格的下りとなり、日本海に向かってまっしぐらに下りて行きます。実に爽快です。

本目の手前で海が目の前となりポンと国道229号に出ます。右折して弁慶岬を越えて行きます。歌島には巨大な電波塔が新設されてました。この少し後の富浦が最高点で、あとは弁慶岬以降下り基調のアップダウンとなります。弁慶岬の休憩所はコロナ対策が然程厳しくなく休憩小屋で休むことが出来ました。段々と晴れて気持ちの良い日になってきました。岬から下りきると寿都町に入ります。丘の上のバイパスは避けて市街地を走って見ました。この町もコロナ対策で商店はあまりやっていません。流石に道の駅は開いてました。焼きガキを焼くテントなんか出てましたけど活気は今一つですね。何も買わずに先を目指します。

寿都から先は海のすぐそばを走る平坦な道です。本来の国道は大きく朱太川上流まで迂回するのですが、今回は最も河口に近い橋を渡ってみることにしました。左側が朱太川ですが、注意して見ていると小さな橋が見えてきます。栄橋といって車では渡れないような細い橋ですが、川面がすぐ近くに見えて気持ちよい。渡ると砂利道になります。これを詰めるのは止めた方が良いです。角のあるバラスが敷かれていてロードのタイヤだと程なくパンクします。そこで渡ってすぐに川沿いの護岸の上を走る細いアスファルト道路を川に沿って上流へと進みます。ここは非常に良い雰囲気です。たまに釣り人と思しき人の車が通る以外は鳥達のさえずりしか聞こえず川の流れは穏やかで美しい。対岸には国道が走っているわけですが、それを感じさせる様なものは遥かに見える電柱のみ。何もありませんがここで一休みするのは悪くないです。暫く進むと湯の浜大橋が見えてしっかりした道路にぶつかります。これは国道ではなく一本海側の道になります。交通量はほぼなしで路面は荒れていません。これを左に取って道なりに進めば、やがて海岸のキャンプ場へ出る道などが枝分かれし、大型ウンドミルの下を通って国道に合流します。交通量は一気に普通レベル、道も当然多少荒れてきます。

海に沿って平坦な道を進みます。風は強いです。何しろ風が売り物の町ですから。日中は海風となり朱太川の方向に吹くことが多いので向かい風になります。これが結構足に来ます。まずは江差追分にも歌われる歌棄、次いで有戸、種前、美谷、横間、鮫取澗、島古丹、能津登と進んでようやく尻別川河口到着。この間に水産会社直営の飲食施設がいくつかあります。今回は尻別川右岸の道々229号を進むことにしていたので橋を渡って道の駅「シェルプラザ」を覗きました。丁度11時を回った頃でしたが空いてました。これより先にまともな補給地点はありませんから、何か食べるならここです。ドライブインみなとという食堂もあります。

ここからは尻別川に沿って吹く海風を背に受けて道々229号快調にたどって行きます。交通量は対岸の267号より相当少ないです。予定では名駒の橋を渡るので河口から10km位になります。途中でコックリ湖への分岐が出ますが無視して直進します。御成地区で一つ目の橋が現れますが、こちらには曲がらずに直進。次の黒松内への分岐が目指す名駒の宝橋になります。「フィッシュ&名駒」という郷土館の様な科学館の様な施設を過ぎると左岸の道と交差し、更に直進して目名方面道々752号へと上って行きます。交差点付近に商店と自販機あり。飲み物補給はここが最後です。(目名駅近辺には自販機がある模様)

ここからは基本的に直進あるのみ。蘭越道の駅こちらと表記されている目名への分岐が途中で出て本来の道々はこちらなのですが、目名駅を見たいのでなければ無視して直進した方が近いです。徐々に高度が上がって行くので疲れた足にはこたえます。やがて貝川という地区に入りますと公民館あり日陰を作ってくれて少しだけ休めますが、自販機などは一切ありません。鉄道の下をくぐって国道5号との合流は間近です。合流してから目名峠の最後の登りに耐えると、後はスタート地点まで一気の下りで終わりとなります。

総距離は100km強といった感じです。

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